la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

My One And Only Love (歌の採掘坑 2)

ジャズ・ヴォーカルを始めた頃、最初にあこがれた歌手はジョニー・ハートマンでした。

彼の声の低音の響きには艶があり、柔らかく温かみがあります。

彼のバリトンの声は"ヴェルヴェット・ヴォイス"と呼ばれていますが、聴いていてとても心地よく、包み込まれる感じがします。彼の歌声は唯一無二で、特にバラードは堪えられません。

ジョニー・ハートマンがテナー・サックスのジョン・コルトレーンと共演したアルバム「John Coltrane and Johnny Hartman」は名盤中の名盤ですが、自分もこのアルバムを聴いて以来、自分にとってのNo.1シンガーになりました。

John Coltrane and Johnny Hartman

一曲目の「They Say It's Wonderful」から素晴らしいし、四曲目の「Lush Life」も良いのですが、やはり最高なのは三曲目の『My And Only Love』です。

≪My One And Only Love≫

Words by Robert Mellin

Music by Guy Wood

The very thought of you makes my heart sing

Like an April breeze on the wings of spring

And you appear in all your splendor

My one and only love

The shadows fall and spread their mystic charms

In the hush of night while you're in my arms

I feel your lips so warm and tender

My one and only love

The touch of your hand is like heaven

A heaven that I've never known

The blush on your cheek whenever I speak

Tells me that you're my own

You fill my eager heart with such desire

Ev'ry kiss you give sets my soul on fire

I give myself in sweet surrender

My one and only love

まずコルトレーンマッコイ・タイナーのピアノでワン・コーラス吹いた後、セカンド・コーラスでハートマンの歌が入ってきます。

コルトレーンのアドリブに導かれて入ってくる、ハートマンの出だしの"The very thought of you....(きみのことを想うと...)"の響きのある低音から高音へ軽やかに伸び上がるところから痺れます。

ハートマンは軽くフェイクする程度で原曲の良さを活かして情感を持って歌い、コルトレーンが自然に、いい感じにアドリブを入れています。タイナーのピアノも優しく軽やかなタッチでとても良いです。

エンディングの"My one and only love (僕のかけがえのない愛しいひと)"では、"one"の部分をフェイクで高音から低音へ緩やかに下りてきて、最後の"love"をヴィブラートで渋く優しく伸ばしているところに、コルトレーンのテナー・サックスのアドリブが入り、タイナーのピアノがエンディングへ持っていきます。

聴き終わったあともしばらくの間余韻に浸ることになります。

この曲はロバート・メリン作詞、ガイ・ウッド作曲の1953年の作品です。

キャピトルに移籍したフランク・シナトラが歌ってヒットしました。

シナトラは二度目を「Nice'n' Easy」でネルソン・リドルと1960年に録音しています。

シナトラも大好きな歌手で、オーケストラをバックにしたシナトラの歌も良いのですが、自分にとってこの曲はコルトレーンとハートマンの演奏&歌とは切り離せません。

John Coltrane and Johnny Hartman」の『My One And Only Love』は僕にとってOne And Onlyのヴァージョンです。