la-musicaの美の採掘坑

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In the Wee Small Hours of the Morning (歌の採掘坑11)

夜中過ぎから午前3時頃までのことを英語では"wee small hours"というそうです。

日本語は少し微妙なようで、「未明」は辞典では「午前3時~日の出前」を指す一方で、天気予報の用語では「午前0時~3時」の意味で使われるそうなので、"wee small hours"は「未明」とも訳されています。

自分にとっては「未明」は辞典通り「午前3時~日の出前」のイメージなので、"wee small hours"は、夜がすっかりふけて人々が寝静まったころの「夜半」の印象に近いです。

ボブ・ヒリヤード作詞、デビッド・マン作曲の『In The Wee Small Hours Of The Morning』は、フランク・シナトラのために二人が1955年に書き下ろしたものです。

ヴァ―スが8小節、コーラスが16小節の短い構成の曲ですが、とても味わい深いバラードです。

<< In the Wee Small Hours of the Morning >>

Words by Bob Hilliard

Music by David Mann

(Verse)

When the sun is high in the afternoon sky

You can always find something to do

But from dusk till dawn as the clock ticks on

Something happens to you

(Chorus)

In the wee small hours of the morning

While the whole wide world is fast asleep

You lie awake and think about the girl

And never ever think of counting sheep

When your lonely heart has learned its lesson

You'd be hers if only she would call

In the wee small hours of the morning

That's the time you miss her most of all

シナトラに提供された曲ですので、この曲のベストはシナトラが歌ったヴァージョンです。

この曲名を冠した「In The Wee Small Hours」というアルバムの一曲目に収録されています。

Frank Sinatra In the Wee Small Hours

オーケストラをバックにゆったりと歌っていて、歌詞が沁みます。

2ndコーラス前半の弦の間奏に続き、やさしく後半を歌い上げておさえたエンディングに繋げていきます。

”まわりが寝静まった夜半過ぎ、一人眠れず彼女のことを考える。

もし彼女が電話でもしてくれるなら、心はすっかり彼女のものなのに。

いちばん彼女のことが恋しくなるこの時間に。”

シナトラは晩年、1993年にリリースされた「DUETS」でこの曲を取り上げ、カーリー・サイモンとのデュエットで、「Guess I'll Hang My Tears Out To Dry」とこの曲を組み合わせて歌っています。

シナトラが「Guess I'll Hang My Tears Out To Dry」をヴァ―スから歌い、コーラスの途中からカーリー・サイモンがこの曲を並行して歌って、きれいに重なってエンディングまでいきます。

Frank Sinatra Duets

シナトラの歌と同じぐらい好きなのがジョニー・ハートマンの「I Just Dropped By To Say Hello」に収録されたヴァージョンです。

彼のヴェルヴェット・ヴォイスの響きが良く出ていてしびれます。

ハートマンは1コーラス歌った後そのままヴァ―スをルバートで歌い、コーラスの後半に戻って歌い終えます。

Johnny Hartman I Just Dropped By To Say Hello

そういえば、シナトラもハートマンもアルバムのジャケットは紫煙をくゆらす姿ですね。

心が落ち着き安らぐ曲です。