Everytime We Say Goodbye (歌の採掘坑16)
コール・ポーターの曲を知りたければ、以前にも紹介しましたが、エラ・フィッツジェラルドの「The Cole Porter Songbook Vol.1 & Vol.2」の2枚はお勧めです。
2枚で32曲収録されていて決定盤に挙げたい演奏が色々ある中で、自分にとってのベストはと問われれば『Everytime We Say Goodbye』を挙げると思います。
『Everytime We Say Goodbye』はポーターの1944年のレヴュー作品「Seven Lively Arts」に挿入されたバラード曲です。
<< Everytime We Say Goodbye >>
Words and Music by Cole Porter
(Verse)
We love each other so deeply
That I ask you this, sweetheart
Why should we quarrel ever?
Why can't we be enough clever, never to part?
(Chorus)
Ev'rytime we say goodbye I die a little,
Ev'rytime we say goodbye I wonder why a little,
Why the gods above me who must be in the know
Think so little of me, they allow you to go
When you're near, there's such an air of spring about it,
I can hear a lark somewhere, begin to sing about it
There's no love song finer but how strange the change from major to minor
Ev'rytime we say goodbye
ヴァ―ス:
僕たちは深く愛し合っている だからこう君に尋ねたい
なぜ僕たちはこのように喧嘩をするんだろう 別れたりしないようもう少し賢くなれないのだろうかと
コーラス:
僕たちがさよならを言うたびに僕は死にそうな気持になる
別れを告げるたびにいつも疑問に思うんだ
全知全能の神がなぜ僕のことを気にかけてくれずに君が去っていくにまかせてしまうのか
君がそばにいてくれると春の気配が満ちていて どこかで雲雀がさえずるのが聞こえるんだ
これ以上素敵なラブ・ソングはないように
でも僕たちがさよならを言うと その歌がメジャーからマイナーに曲調が変わってしまう
なんと不思議な事だろう
歌詞の訳は男性の視点で書いてしまいましたが、この曲のイメージはヴォーカルではエラのヴァージョンです。
彼女は丁寧に端正に歌っていて、僕の中ではこれがスタンダードとして出来上がっています。
エラはヴァ―スは歌っていませんが、2014年にリリースされた「Tony Bennett & Lady Gaga Cheek To Cheek」でレディー・ガガがヴァ―スから歌っています。
途中ドラムのブラシのリズムが入りますが、ほとんどはレディー・ガガがピアノの伴奏だけでしっとりと歌っていて引き込まれます。
とても良いです。
インストではなんといってもアルバム「My Favorite Things」に収録されているジョン・コルトレーンのソプラノ・サックスによる演奏のヴァージョンでしょう。
ピアノ・トリオが刻む三拍子のリズムにのせてコルトレーンがソプラノ・サックスでメロディを吹きまくる"My Favorite Things"がアルバムの一曲目。
呪術的で強いインパクトの表題曲に続いて二曲目に置かれたのが『Everytime We Say Goodbye』。
あまりメロディを崩さないストレートでゆったりとした演奏です。
『Everytime We Say Goodbye』は、エキゾチックなスタイルの曲が多いコール・ポーターの曲の中では、素直な美しいメロディのバラードです。