新緑の龍王峡 (センス・オブ・ワンダー 30)
会津への鉄道旅行の往路で、鬼怒川の景勝地龍王峡でハイキングをしてきました。
龍王峡へは、野岩鉄道の最初の駅である新藤原駅の次、龍王峡駅を降りてすぐです。
東武鉄道との直通があるので浅草から快速会津田島行きで乗り換えずに行けます。
今から約2200万年前に海底火山の活動で噴出した火山岩が、鬼怒川の流れによって侵食されて現在の龍王峡の姿になったといわれています。
食堂や土産物のお店が集まっている一角の裏側に龍王峡へ降りる道があります。
石段の道を川の方へ下っていくと、鬼怒川・川治温泉の守り神である竜神様の像が祀られている五龍王神社があり、その後ろに虹見の滝があります。
太陽光線が当たると虹がかかることから名付けられたそうです。
(虹見橋から望む虹見の滝)
川沿いの自然研究路へ行く前に、河原への道を下りてみると、開けた河原があって、目の前に白い岩、新緑、そしてエメラルドグリーンの流れが広がっていました。
水は冷たく水遊びはできませんが、腰を下ろして涼みながら景色を眺めるには絶好の場所です。
龍王峡は、岩の種類と色の違いによって、下流からに白龍峡、青龍峡、紫龍峡と三つに分けて呼ばれています。
むささび橋から下流が白っぽい色をした流紋岩、むささび橋から兎はねの間が青い色をした緑色凝灰岩、兎はねから上流が紫色をした安山岩でできているそうです。
龍王峡のハイキングコースは、龍王峡駅裏の入り口から上流方向に、川治温泉駅や更に川治湯元駅までのびているそうです。
ただ、残念ながら、我々が行った時は落石のため、むささび橋から先の自然研究路は進めませんでした。
従って、虹見橋を渡って右岸研究路を歩き、むささび橋を渡って左岸研究路を戻ってくることにしました。
自然研究路では、新緑のまぶしい黄緑色の中にヤマツツジがオレンジ色の花を咲かせ、野鳥がさえずり、気持ちの良いハイキングができました。
右岸研究路に沿って湿地が広がっていて、クリンソウが鮮やかな色の花を咲かせていました。
湿地からは蛙が鳴く声も聞こえてきました。
池があるので暫く見ていると、やがて水面に蛙が顔を出しました。
ガイドブックにはモリアオガエルが生息する地と書かれていましたが、この蛙は違います。
池にはオタマジャクシがたくさん泳いでいましたが、目を凝らして水の中を見ていると、手足があって尻尾の長い体長10cmほどの生物も動き回っていました。
サンショウウオと気付きました。
右岸研究路を進むとむささび橋に出ます。
橋から上流を望むと、青龍峡の緑色凝灰岩による青みがかった渓谷の景色が広がります。
一方、下流を望むと、白い流紋岩の白龍峡の渓谷美が楽しめます。遠くに虹見橋が小さく見えています。
橋を渡り左岸研究路を龍王峡駅方面へ戻ります。
左岸は右岸ほど視界が開けていなくて林の中を歩きます。
木々の間から、鬼怒川に浸食された白い岩が眺められました。
左岸を進むと途中に"流紋岩の割れ目"の説明書きがありました。
木の葉に隠れて少し見にくいのですが、左斜め中央下から右斜め上にかけて横に割れ目が見えます。
このような割れ目は、流紋岩のような火山から流れ出した溶岩が急激に冷えて収縮してできた場合や、海底から隆起した際の運動によってできるそうです。
この割れ目を伝って地下水が流れ、時には温泉が湧き出ることもあるようで、鬼怒川温泉や川治温泉では、このような岩の割れ目から温泉が湧いているのだそうです。
左岸研究路を進むと左手へ折れる道があり、その道を進むと野岩鉄道の線路を越えることができました。
龍王峡駅から川治温泉駅方面へ向かう列車はすぐにトンネルの中に入るのですが、そのトンネルの上を越えて駅の方に戻ることができました。
龍王峡は、毎年7月に開催される龍王祭の時期や秋の紅葉の時期にはかなりの人出になるそうです。
それでも、別の季節に会津への旅を計画する際、是非また歩いてみたい場所です。