la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

I Concentrate On You (歌の採掘坑15)

John Coltrane and Johnny Hartman」を聴いてあこがれたジョニー・ハートマンですが、その後、他のアルバムも聴きこみました。

先に紹介した"In the Wee Small Hours of the Morning"が収録された「I Just Dropped By To Say Hello」、そして「Songs From The Heart plus All Of Me」、「The Voice That Is!」、「Unforgettable」など。

なかでも、ベツレヘムからリリースされた2枚のアルバムがカップリングになった「Songs From The Heart plus All Of Me」には23曲収録されていて、繰り返し聴きました。

録音は「Songs From The Heart」が1955年、「All Of Me」が1956年。

この一枚で30代前半の若いハートマンの歌声が堪能できます。

(自分が持っているCDは「Songs From The Heart」がジャケットとなったカップリング版ですが、今は2枚が個別に販売されているようです)

Johnny Hartman Songs From The Heart

Johnny Hartman All Of me

このアルバムで初めて知ったスタンダードも多くあり、その中の一曲がコール・ポーター作詞・作曲の『I Concentrate On You』です。

<< I Concentrate On You >>

Words and Music by Cole Porter

Whenever skies look gray to me

And trouble begins to brew

Whenever the winter winds become too strong

I concentrate on you

When fortune cries "Nay, Nay" to me

And people declare "You're through"

Whenever the blues become my only songs

I concentrate on you

On your smile, so sweet, so tender

When at first my kiss you decline

On the light in your eyes when you surrender

And once again our arms intertwine

And so when wise men say to me

That love's young dream never comes true

To prove that even the wise men can be wrong

I concentrate on you

I concentrate, and concentrate on you

空が灰色になり、雲行きが怪しくなり、木枯らしが強くなりだしたら、僕は君のことだけを想うんだ

幸運が僕を見離し、人々にお前は終わりだと言われ、ブルースを歌うしかなくなると、僕はただ君のことだけを想う

初めての僕の口づけを君が拒む時の、君の甘く優しい微笑みのことを

そして、君が受け入れてくれて、僕らが腕をからめ合わせた時に君の瞳に浮かんだ光のことを想う

賢人たちが若い恋人たちの夢など実現しないと諭すけれど

彼らでさえ間違えることがあるということを証明するために

僕は強く君のことを想うんだ

これはコール・ポーターの1939年の作品で、ミュージカル映画「The Broadway Melody」に使われ、そのなかでダグラス・幕フェイルが歌ってヒットした曲だそうです。

色々な曲調で歌えそうな曲ですが、ジョニー・ハートマンは1956年録音の「All Of Me」では、ラテン風のアレンジでオーケストラをバックに歌い上げています。

ラテンのパーカッションによる前奏に乗せて低音で入ってくる"Whenever skies look gray to me"のところから痺れます。

1stコーラスのサビからストリングスのロマンティックな演奏にのって歌います。

そのまま2ndコーラスはサビに戻りテンポはルバートで、そして途中からキーを上げてインテンポで情感たっぷりに歌い上げ、エンディングは再びパーカッションにのってラテンのリズムでフェードアウト。

自分にとって、『I Concentrate On You』といえば、ジョニー・ハートマンです。