la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

When I Look In Your Eyes (歌の採掘坑12)

女性ボーカルでは、一時期ダイアナ・クラールをよく聴きました。

彼女のアルバム「All Of You」(1996年)、[Love Scenes」(1997年)、「When I Look In Your Eyes」(1999年)の3作品は気に入っていて、彼女のアルバムで初めて知る良い曲が多くありました。

ダイアナ・クラールは、1998年に日本で二度ライブ/コンサートを持っています。

"Blue Note Tokyo"(1月)でのライブと"簡易保険ホール"(6月)でのコンサートで、両方聴きに行きました。

6月の簡易保険ホールは、富士通協賛の"Jazz Elite 3"という企画で、ダイアナ・クラール・トリオ、ベニー・グリーン・トリオ、ジョン・ピザレリ・トリオが演奏する贅沢なコンサートでした。

アルバム「Love Scenes」が出た後でしたので、このアルバム収録の曲を中心に演奏されていたと思います。

アルバム「When I Look In Your Eyes」がリリースされたのはその翌年。

タイトルの『When I Look In Your Eyes』というバラードは、このアルバムで初めて知りました。

Diana Krall When I Look In Your Eyes

<< When I Look In Your Eyes >>

Words and Music by Leslie Bricusse

When I look in you eyes

I see the wisdom of the world in your eyes

I see the sadness of a thousand goodbyes

When I look in your eyes

And it is no surprise

To see the softness of the moon in your eyes

The gentle sparkle of the stars in the sky

When I look in your eyes

In your eyes

I see the deepness of the sea

I see the deepness of the love

The love I feel you feel for me

Autumn comes summer dies

I see the passing of the years in your eyes

And when we part there'll be no tears no goodbyes

I'll just look into your eyes

Those eyes so wise so warm so real

How I love the world your eyes relive

”あなたの瞳の奥に様々なものが見える。

世の中の叡智、千の別れの悲しみ、月の柔らかさ、夜空の星の優しいきらめき、深い海、深い愛。。。

夏が過ぎ秋が来て......時の移ろいをあなたの瞳の奥に見る。

私たちが分かれる時は涙もさよならもなく、あなたの瞳をじっと見つめるだろう。

それは賢く、温かく、確かなもの。あなたの瞳を通して見る世界がどんなにか好きなことか。”

詩的で哲学的な表現も出てくるとても美しい詞で、詞に劣らずメロディも美しいです。

作詞・作曲はレスリー・ブリカス。

「The Shadow Of Your Smile」の作曲家のジョニー・マンデルのアレンジによるオーケストラ/ストリングスのバックで、ダイアナは、ギターのラッセル・マローンのサポートも得てしっとりとこの曲を歌っています。

このアルバムの日本版のライナーノーツを見て、”アイリーン”・クラールもこの曲を歌っていることを知りました。

(ダイアナはこの曲を大好きなアイリーンのヴァージョンで好きになったにちがいないと書かれていました)。

アイリーン・クラールはシカゴ出身のアメリカのジャズ歌手です。病のため1978年に46歳で他界しています。

このライナーノーツを読んで、以前アイリーン・クラールのCDを購入したことがあったことを思い出しました。

「Where Is Love?」(恋の行方)というバラード・アルバムで1974年に録音されたものです。

いつだったか、CDショップで薦められているのを見て手にしたものの、あまり聴く機会がないままになっていたものでした。

このアルバムに『When I Look In Your Eyes』が収録されていました。

Irene Kral When Is Love

伴奏はピアノのみ。派手さはありませんが、メロディ・歌詞を丁寧にじっくり聴かせてくれます。

最近改めてアルバムを聴き直してみて、「Where Is Love?」でのアイリーンの歌の味わい深さを再認識しました。

最近はクラシックでも、オーケストラより室内楽、オペラより歌曲を聴きたくなったりして、歳を重ねたせいかと思ったりします。

アルバム「Where Is Love?」でのアイリーン・クラールの歌の素晴らしさもようやくわかるようになった気がします。

ところで、『When I Look In Your Eyes』はレスリー・ブリカスがアメリカのミュージカル映画ドリトル先生不思議な旅」(1967年)のために書いた曲の中の一曲です。

ダイアナとアイリーンの二人のクラールの歌を聴きこんでしまうと、彼女達が歌う曲の世界を壊したくないので、映画は見たくないです。。。