la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

O Magnum Mysterium (歌の採掘坑 7)

ドイツに滞在していた頃、妻と二人で地元の合唱団に入りました。

ドイツの人たちと何かで交流してみたいという気持ちがあり、二人とも歌が好きで合唱の経験があったので、地元の合唱団を探して見学に行ってみました。

日本人が来るのは初めてで、指揮者/リーダーを始め団員の皆さんは最初は驚いていましたが、温かく受け入れてくれました。

練習の後の懇親会や夏の合宿にも参加し、コンサートにも出させてもらい、合唱団の仲間と楽しい時間を過ごすことができました。

この合唱団では、ドイツ語、英語、フランス語、ラテン語ノルウェー語、マジャール語など、ヨーロッパの色々な国の言語の曲を歌いました。

初めて知る作曲家も多くいました。

その一人に1943年生まれの米国の作曲家、モートン・ローリゼンがいます。

声楽曲を発表していて、彼の合唱曲は世界中で広く歌われています。

現在も南カリフォルニア大学作曲科の特別教授(Distinguished Professor)の職にあるとのことです。

合唱団で歌ったのは、『O Magnum Misterium』(おお大いなる神秘)という、聖母マリアを讃えるラテン語の曲です。

<< O Magnum Mysterium >>

Morten Lauridsen

O magnum mysterium,

et admirable sacramentum,

ut animalia viderent Dominum natum,

jacentum in praesepio!

Beata Virgo, cujus viscera

meruerunt portare

Dominum Christum.

Alleluja!

(English translation)

O great mystery,

and wondrous sacrament,

that animals should see the newborn Lord,

lying in the manger!

Blessed Virgin, whose womb was

worthy to bear

the Lord Jesus Christ

Alleluia!

"静謐"ということばがふさわしい、静かで美しい曲です。

三声が全音符でハーモニーを響かせる中、一声が四分音符でメロディーを奏でます。

それがアルト、ソプラノ、テノールと引き継がれていき、単独でメロディーを奏でるパートが変わります。

自分はバスで三声を支えるパートだったのですが、歌っていても、全体のゆったりとした響きの中にいて穏やかで安らかな気持ちになれました。

この曲は数多く録音があるようですが、我が家にあるのは、ドイツの合唱団"The Nordic Chamber Choir"によるCDです。

Morten Lauridsen O Magnum Mysterium

♪♪♪♪♪

娘が生まれて合唱団の練習にはなかなか行けなくなりましたが、娘を連れて顔を出すと皆とても喜んでくれました。

合唱団は今も活動を続けてくれていて、とてもうれしいです。

ローリゼンの『O Magnum Mysterium』を始め、デュルフレの「Notre Pere」,「Ubi Caritas」、バルトークの「Four Slovak Folksongs」など、そこで初めて知った曲と共に、温かかった合唱団の人たちのことを懐かしく思い出します。