la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

Just In Time (歌の採掘坑 6)

今回は、スタンダードでノリのよい『Just In Time』です。

昔フィリピン・セブ島のリゾートに滞在した際に、ホテルのレストランでピアノの伴奏で歌ったことがあります。

そのレストランにはカクテル・ミュージックを演奏する男性ピアニストがいて、スタンダード・ジャズも弾いていました。

伴奏で何か歌わせてもらえないかと話をして、すぐに『Just In Time』で話がまとまり、ナイスな伴奏で気持ち良く歌わせてもらいました。

『Just In Time』は、前回紹介した「Make Someone Happy」と作詞者も作曲者も同じです。

「Make Someone Happy」より前、1956年のミュージカル「ベルズ・アー・リンギング」の挿入歌として、ベティ・コムデン&アドルフ・グリーン作詞、ジュール・スタイン作曲で書かれたものです。

<< Just In Time >>

Words by Betty Comden and Adolph Green

Music by Jule Styne

(Verse)

I was resting comfortably face down in the gutter

Life was serene, I knew where I was at

"There's no hope for him", my dearest friends would mutter

I was something dragged in by the cast, then

(Chorus)

Just in time, I found you just in time

Before you came, my time was running low

I was lost, the losing dice were tossed

My bridges all were crossed, no where to go

Now you're here and now I know just where I'm going

No more doubt or fear, I've found my way

For love came just in time

You found me just in time

And changed my lonely life that lovely day

ヴァ―スでは、溝に顔を突っ込んで突っ伏して、望みのない絶望的な状態にいる自分を歌っています。

そして、コーラスの導入で、"まさにタイムリーに僕は君を見つけた"と歌い始め、"君も僕を見つけてくれて、僕の寂しかった生活を一変させてくれたんだ"と歌い上げます。

君と出会うまでの僕は、"自分を見失い、負けるのが見えている賽も投げられ、戻る橋も閉ざされ退路を絶たれた"惨めな状態にいます。

そこに君が現れ、"僕は自分の行くべき道を見つけて"状態はポジティブに反転します。

Tony Bennett Duets

トニー・ベネットの「Duets」では、彼自身の若い頃の録音と同じビッグバンドのアレンジで、50才近くも年が離れたカナダ出身の若手ジャズシンガー、マイケル・ブーブレとデュエットで歌っています。

渋く味のあるトニー・ベネットとイキで軽快なマイケル・ブーブレの息がぴったり。

聴いていると思わずリズムをとって身体が動き出してしまう演奏です。

Kevin Mahogany You Got What It Takes

ケビン・マホガニーの『Just In Time』はカッコいい。ですが速い。

疾走感があってとても好きなのですが、お手本にするにはハードルが高い演奏です。

Mel Torme Swings Shubert Alley

スタンダードな曲ですので、多くの歌手が歌っていますが、『Just In Time』はやはり、アルバム「Swings Shubert Alley」(1960年)でのメル・トーメの歌が極め付けだと思います。

ファースト・コーラスは4ビートのドラムとベースの伴奏で丁寧に歌い、セカンド・コーラスを管のオーケストラをバックに酒脱で軽妙に歌っています。

僕にとってのお手本です。

この曲、自分の結婚式の披露宴で、ジャズ・ヴォーカルの先生のピアノの伴奏で歌ってしまったこともあり、思い出深い曲です。

軽妙酒脱にはいきませんでしたが。