石山緑地 (センスオブワンダー 22)
先日札幌を訪れた際に、友人が石山緑地に連れて行ってくれました。
札幌市南区の石山は札幌軟石の産出地であったところ。
札幌軟石は、適度な硬さを持ちながらも柔らかいために切り出しが容易、また軽くて保温性が良いことから、開拓時代の主要建造物の建材として使われたそうです。
札幌市資料館や小樽運河の倉庫群も札幌軟石で作られています。
石山から札幌軟石を運ぶために馬車鉄道がつくられ、それが札幌の市電の始まりであったそうです。
石切り場の騒音と粉塵への苦情から石山は閉鎖されました。
昭和52年に採掘を止めた石切り場跡地は治安上・環境上で地域の問題となり、地域の強い要望を受けて札幌市が国から土地を取得し公園化に着手。
北海道在住の5人の彫刻家集団「CINQ(サンク)」のデザインによって、平成9年、石と緑の造形空間が完成しました。
公園の入口は水と石の遊び場『スパイラルスプリング』。
湧き出た水が、螺旋状の水路を持った、バベルの塔を思わせる石塔の上から流れ落ちてきます。
落ちてくる水しぶきは陽光をうけて輝き、塔の近くにいくと、降りかかるミストが爽やかで心地よいです。
先の方へ道を降りていくと、地面にリスがいて、我々を見るとあっという間に近くの木に駆け上りました。
下から見上げていると、枝を伝って別の木に移って見えないところに行ってしまいました。
石の広場『ネガティブマウンド』は古代ローマ遺跡のコロッセオの内部を思い出させます。
後ろには石の壁がそそり立っています。
『ネガティブマウンド』を舞台に演劇やコンサートが開催されたりするそうですが、石の壁に囲まれて音響効果もきっと良いことでしょう。
更に奥にある『午後の丘』では、なだらかな丘に立方体の石が切り出し口からこぼれ落ちたかのようにちりばめられています。
切り立った石の上の方を眺めると、薄い表土の部分に樹木が根を横に広げているのがはっきりわかります。
道の脇の切り立った石壁の割れ目から木々が伸びているのも目に入ります。
自然の力によって、時とともにこの場所の景観も変えられていくのでしょう。
我々が訪れたのは日曜日の午前中。
イベントのある時などは人出は多いのでしょうが、その時は小さい子供を連れた親子を何組か見かけた程度。
ピクニックをしてのんびりと過ごすには最高の場所のように思いました。
紅葉の時期や冬の雪の時期にも来てみたいです。
石山緑地は、今年1月に実施された札幌市民が選ぶ「第1回さっぽろ景観総選挙・好きな札幌の景観」で一位に輝いています。