la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

熊野~熊野本宮大社・熊野古道 (永遠の場所 16)

6月に思い立って熊野に行ってきました。

熊野古道を歩きたい、熊野三山を参詣したい、那智の滝を見てみたい、熊野の温泉に浸りたい等々の目的に対して、二泊三日に凝縮した計画をたてました。

20年ほど前に吉川英治の「新・平家物語」を読んで以来、熊野は是非とも訪ねたい場所でした。

一度、壇ノ浦、厳島屋島など瀬戸内の平家ゆかりの地を旅したことはありましたが、熊野に足を延ばす余裕はありませんでした。

平家物語の舞台は平安末期の院政の時代。天皇を上回る権力を持つ上皇法皇たちは頻繁に熊野を参詣、平清盛と因縁の関係にあった後白河法皇は34回も熊野行幸を行っています。

天皇伊勢神宮と密接な関係を持つのに対して、上皇法皇たちは熊野との関係を自らの権力の支えにしようとしたようです。

又、源平合戦でも重要な役割を果たした熊野水軍

紀伊半島南部の浦々を拠点に活動し、瀬戸内海の制海権を握っていましたが、これを統括したのは、熊野三山の統轄にあたった熊野別当(くまのべっとう)です。

平家物語の舞台への興味も再びもたげてきました。

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首都圏から熊野へ入るには、JAL便で羽田から南紀白浜空港に飛んで、そこからバスで熊野に向かうのが最速です。

JALは羽田から南紀白浜に一日3便飛ばしていますが、自分は第一便の羽田7:25発のJAL1381便で南紀白浜空港に入りました。南紀白浜空港には8:40頃到着。

この便に合わせて、空港から熊野本宮/新宮への直通バスが運行しており、空港9:28発の明光バス快速熊野古道3号で熊野本宮大社まで乗りました。

空港で少し待ち時間があったので、観光案内のカウンターで色々教えてもらい案内資料も貰いました。

貰った資料で一番役に立ったのは路線バス&鉄道の時刻表。

本数が少なく一本逃すと次がなかったり暫く待たされたりすることになるため、時刻表での事前確認が重要でした。

バスは南紀白浜空港から2時間半近くかかって12時前に本宮大社前に到着。

途中、川沿いの道で、修復工事のために川の対岸へ迂回路がつくられているところがありました。

まずは熊野本宮大社の参拝に向かいます。

上四社、中四社、下四社で構成され、熊野川の中洲にあった旧社殿は1889年(明治22年)の洪水で破損、、上四社のみが現在の山の上の社地に再建されています。

お参りの作法は二礼・二拍手・一礼。

参拝の順序は、まず第三殿のスサノオノミコト、次に第二殿のイザナギノオオカミ、そして第一殿のイザナミノオオカミ、最期に第四殿のアマテラスオオミカミとなります。

熊野本宮大社 参り方

6月の平日のお昼時、何組か外国人観光客にも出会いましたが、参拝客は多くなく、静かな環境で参拝することができました。

熊野本宮大社

その後、「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる、かつて熊野本宮大社があった場所を訪ねました。

熊野本宮大社から徒歩10分ほどのところにあり、高さ約34mの大鳥居が建っていて、敷地内には流失した中四社・下四社をまつる石造の祠が建てられています。

草むらで、蛇を見かけました。

熊野大斎原

時間が取れれば昼食をとった上で、熊野本宮大社から発心門王子へ向かうバスに乗るつもりだったのですが、時間的な余裕がなくなったので、本宮大社の入り口鳥居のそばの珍重庵の出店で「もうで餅」を食べて、13:27発のバスに乗り込みました。

熊野行きの目的の一つが熊野古道を歩くことです。

田辺から山岳道をたどる中辺路(なかへち)は平安から鎌倉時代にかけて上皇たちが参詣を繰り返した御幸道で、なかでも熊野の霊域への入り口といわれる滝尻王子から熊野本宮大社に至る38kmが最もポピュラーなコースです。

ただ38kmを歩き通すには少なくとも二日は必要なので、今回の自分の場合は、発心門王子から本宮大社までの6.9kmの部分を歩いて古道の雰囲気を味わうことにしました。

熊野古道 中辺路

発心門王子から本宮大社へは基本的になだらかな下り坂なので歩きやすく、清々しい森の中の古道を二時間弱ほどで歩きました。

熊野古道

熊野古道2

熊野古道3

三軒茶屋跡からの下り道で、道の脇にササユリの淡いピンクの花を見つけました。

りっぱな花でした。

熊野古道のササユリ

本宮大社には15時頃に到着。

本日の最終目的地は川湯温泉。時間もあるしまだ歩けそうな気がしたので、本宮大社から、熊野本宮温泉郷湯の峰温泉へ抜ける大日越のコースも歩いてみることにしました。

歩行距離3.4km, 一時間強のコースということで、安易な気分で歩き始めたのですが、急な上り坂が続いて結構厳しく、滝のように汗を流し、かなりくたびれて湯の峰温泉に辿り着きました。

熊野古道 大日越

湯の峰温泉で一服したのち、17:09のバスをとらえて川湯温泉へ。バスで10分程の距離です。

宿にチェックインし、早速お風呂に向かいます。露天風呂は川に面した河原にありました。

目の前の川と森の風景をぼんやりと眺めながら湯につかり、ウォ―キングでかいた汗と一日の疲れを洗い流しました。

川湯温泉