la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

スイス - ベルナー・オーバーラント・ドライブ 2003年夏 (永遠の場所 7)

2003年の夏、美術館巡りを目的に妻とスイスを旅行しました。

シュトゥットガルト州立美術館(ドイツ)、ファドゥーツ・コレクション(リヒテンシュタイン)、ヴィラ・フローラ、オスカー・ラインハルト・コレクション、チューリヒ美術館、ビュールレ・コレクション、バーゼル美術館(以上スイス)、ウンターリンデン美術館(フランス)と八つの美術館を巡る車での旅でした。

この夏はとても暑く、スイス・ヴィンタートゥアのプチ・ホテルでは宿の人から扇風機を借りましたが、それでもなかなか熟睡はできない状態でした。

旅も四日目。既に六つの美術館を訪問し頭も眼も飽和状態、又38℃にもなるかんかん照りが続いて身体も疲れ気味でしたので、スイスの山岳地帯の方へ涼みにいくことにしました。

ヴィンタートゥアからチューリヒルツェルンを経て、フィアヴァルトシュテッテン湖を半周して南下し、ベルナー・オーバーラントの山岳地帯をドライブし、ベルン経由北上して次の目的地バーゼルに入るという、400Kmを超える行程のドライブです。

ベルナー・オーバーラント

朝8時前にヴィンタートゥアのホテルをチェックアウトして南下。ルツェルンからフィアヴァルトシュテッテン湖の北岸を走ります。

フィアヴァルトシュテッテンというのはドイツ語で四つの森の州という意味で、この地域は「ウィリアム・テル物語」の舞台でスイス建国の地です。

この河畔道路の湖と山の景色はとてもきれいで、河畔の小さな町のヴィラに長期滞在したくなりました。

湖の橋から高速道路にのり、山岳道路の出発地であるアンデルマットへ向かいます。この辺りまではドイツが話される地域ですが、山を下るとイタリア語圏になります。

アンデルマットの先には全長17Kmにも及ぶトンネルがあり、イタリア訪問へドライブする旅行客で渋滞していました。

標高1447mのアンデルマットから2431mのフルカ峠までは山の斜面をジグザグに走る登山道路です。

途中11%の傾斜の坂もあり、車はぐんぐん山を登って行きます。

遠くの山には雪渓が見え、登ってきた道路を見下ろすと雪解け水に端を発する濁った水がもの凄い勢いで流れていきます。

フルカ峠

フルカ峠での気温は25℃。麓よりは若干涼しいですが、富士山の五合目と比べると異常に暑いです。

フルカ峠を抜けて一旦1757m地点のグレッチまで10%の坂道を700mほど下り、再び2165mのグリムゼル峠まで山登りです。この急斜面には箱根の七曲りも到底及びません。

車のブレーキが焼けてしまわないか心配しながら慎重に山を下りました。

雪渓を抱く3000m級の山々を見上げ、滝の前を通り過ぎ、湖やダム湖を見下ろしながらのドライブは本当に爽快。

気温は思ったほどには涼しくはありませんでしたが、車の窓を全開にして上機嫌で山道を行きました。

グリムゼル峠から1400m程も下って標高595mのマイリンゲンに着くころには外気温は34℃を超えていました。

ここからブリエンツ河畔道路を抜けてインターラーケンを通り、グリンンデルワルトへ向かいます。

グリンンデルワルトは標高1034mにある山岳登山の玄関口で、ここからは4000m級の山が幾つも見えます。

グリンンデルワルトまでは鉄道も走っていて登山客でごった返していました。

駅前を通り過ぎ乗用車で行ける一番奥の駐車場へ。ここから先はバスなど許可を車両か自転車しか進むことはできません。

景色の良い場所を探し、聳える山々を見上げます。

グリンデルバルト-1

グリンデルバルト-2

氷河を見に行くための岩山に登る階段がありましたが、その終点から氷河までは大分距離があるように見えました。

標高1034mでも気温は35℃。ちっとも涼しくはありません。氷河もいつもの年よりは小さくて遠くにあるのでしょう。

河原に降りるとコーヒーミルク色をした水がものすごい勢いで流れていました。

駐車場に戻り水分と糖分を補給してその日の最終目的地、ドイツとフランスに国境を接するライン河畔のバーゼルへ一気に向かいました。

ホテルに着いたのは午後7時。日没は午後9時過ぎなのでまだまだ明るく暑い時間帯です。

冷房の効いた部屋でぬるめのお風呂に入りすぐに熟睡。

涼みにいくという目的は達せられませんでしたが、快晴の下、雄大な山々と湖の景色を堪能した爽快なドライブでした。