la-musicaの美の採掘坑

自然、美術、音楽、訪れた場所などについて、「スゴイ!」「きれいだな...」「いいね」と感じたものごとを書き留めています。皆さんの心に留まる記事がひとつでもあればうれしいです。

モロッコ~サハラ砂漠 (永遠の場所 9)

サハラ砂漠をこの目で見たい!!」と思い立ち、十数年前の夏、友人とモロッコを旅しました。

サハラ砂漠をハイライトに、前後にモロッコの主要な街、マラケシュ、フェズ、メクネス、カサブランカを巡る一週間の旅でした。

旅程は下記の通り。鉄道、バス、タクシーを活用して、一週間で目いっぱい見て回る盛りだくさんの旅にしました。

0日目: 成田→パリ(飛行機夜行便)

1日目: パリ→カサブランカ(飛行機早朝便)

     カサブランカマラケシュ(鉄道)[マラケシュ泊] 

2日目: マラケシュワルザザート(バス)

      ワルザザート⇔アイト・ベン・ハッドゥ(タクシー)

      ワルザザート→ティネリール(バス)[ティネリール泊]

3日目: ティネリール⇔トドラ峡谷(タクシー)

     ティネリール→エルフード→メルズーカ(タクシー)[メルズーカ泊]

4日目: メルズーカ→エルフード→エルラシディア(タクシー)

     エルラシディア→アズルー→イフレン→フェズ(バス)[フェズ泊]

5日目: フェズ→メクネス(バス)[メクネス泊]

6日目: メクネス→カサブランカ(鉄道)[カサブランカ泊]

7日目: カサブランカ→パリ(飛行機)

モロッコ旅行ルート

Air Franceの夜行便でパリに入り、カサブランカ行きの早朝便に乗り換え。カサブランカからは列車を使い1日目にマラケシュまで一気に入りました。

モロッコはアトラス山脈によって、"城壁"と"メディナ"の北側地域と、"カスバ"と"オアシス"の南側地域に分けられています。

2日目。マラケシュからは、バスでオート・アトラスを越えて、サハラ砂漠へ続くカスバとオアシスの世界に入りました。

アトラス越えバス_マラケシュ-ワルザザード

モロッコの旅では、タクシーとともにバスにもお世話になりました。

バス・ルートがないところはタクシーを使うしかありませんが、それ以外はモロッコではバスが便利です。

マラケシュからサハラの入り口の町ワルザザートまではバスで4時間の山道のドライブ。

乾いた大地・山々の景色が延々と広がります。

マラケシュ-ワルザザート・バス_車窓からの景色

ワルザザードでタクシーを調達して、ワルザザートから30kmほど西にあるアイト・ベン・ハッドゥ村まで足を延ばします。

アトラス山脈の南側の荒れ果てた大地に点在するオアシスには、肥沃な土地からアラブ人に追われたベルベル人達が外敵の侵攻から自分達を守るために築いたカスバ(要塞)やクサル(城砦化した村)が今でも残されています。

有力であったハッドゥ一族が築いたクサルがアイト・ベン・ハッドゥです。

アイト・ベン・ハッドゥ1

敵の侵入を防ぐため集落への入口はひとつしかなく、通路は入り組み、分厚い外壁には銃眼が施されています。

家々には高い壁の見張り台兼穀物倉庫が造られています。

映画『アラビアのロレンス』『グラディエーター』のロケ地としても有名な場所で、1987年にユネスコ世界遺産に登録されています。

クサルの頂上からは遠くまで見渡すことができ、近くにはマレ川という小川が流れているので、城砦を築くには良い場所にあることがわかります。

アイト・ベン・ハッドゥ

この日はワルザザートから更にバスでティネリールまで入りました。

バス乗り場の近くのホテル・エル・フーダに部屋をとり、タジン鍋の夕食をとりました。

ここでサハラ砂漠へのタクシーを手配。交渉成立し、ベルベル人のおじさんと若者の二人組にお世話になることになりました。

翌日、3日目は、まずトドラ峡谷に連れて行ってもらいました。

ティネリールの北約15キロメートルに位置するトドラ峡谷は、200m超の高さの垂直に切り立った断崖が続く、トドラ川によって刻まれた谷です。

トドラ峡谷

ティネリールから峡谷までの道はオアシスで、緑の景色が広がります。

オアシスという言葉の意味は知っていましたが、実際に、一面砂の乾いた景色が続く中に突然緑の景色が出現するのを見て、「ああこれがオアシスというものか」と感慨を持って実感しました。

オアシス_ティネリール-エルフード

ティネリールからサハラ砂漠の入り口のメルズーカへ、エルフード経由で向かいます。

メルズーカはエルフードから南へ約50kmのところにある砂の中の村です。

エルフードからの道は、初めの20km弱は舗装道路ですが、その先は「ピステ」と呼ばれる砂漠の中の道無き道を1時間弱ほど走ります。

メルズーカにはまだ日が高いうちに着きましたが、砂が熱くて歩けないので、砂漠へは日が落ちてから行くことにして暫く休憩を取ることにしました。

メルズーカの宿のことはよく思い出せないのですが、皆で雑魚寝をするような場所であったように思います。

日が沈んで暑さが和らぐのを見計らって、砂丘へ向かって歩きます。

空と地平線の方はまだ明るいのですが、砂丘は手前の方から段々暗くなっていきます。上空には月が上っています。

見渡す限り砂のうねりが連なる月の砂漠の景色を言葉もなく暫く眺めていました。

暑さも和らいでいて風が心地よいです。

翌日朝早くに日の出を見に来ることにして、宿に戻って休むことにしました。

サハラ砂漠_夕刻

翌日(4日目)、まだ暗いうちに起床し砂丘に上って日の出を待ちます。

暗い砂丘の奥、地平線の色が明るく変わり始め、日が昇ってきます。

サハラ砂漠の日の出

日が出ると周りは一気に明るくなります。

サハラ砂漠

ドライバーの若者が上半身裸になって腹ばいで砂丘をスライディング。

自分はそこまではしませんでしたが、裸足の足に砂丘の砂の感触がとても心地良く、足の裏で感触を確かめながら砂の上を歩きました。

周りにいる他の旅行者たちも、それぞれ思い思いに広大な景色を眺めていました。

自分も暫く全身でサハラ砂漠の空気を味わっていました。

サハラ砂漠2

暑くなって砂の上を歩けなくなる前に宿に戻り、帰り支度をして出発。

メルズーカからエルフードに戻ります。フェズ、メクネス方面へ北上するバスに乗るために、更にエルラシディアの長距離バス乗り場まで送ってもらいました。

一日半一緒に過ごした二人と別れを惜しんでアズルー/フェズへ向かうバスに乗り込みました。

この後訪れたフェズ、メクネスも世界遺産に登録されている街でそれぞれ印象に残りましたが、やはり、アトラス越えからサハラ砂漠への3日間の行程が最も強く印象に残っています。

500mlの水のペットボトルに入れて持ちかえったサハラ砂漠の赤い砂。

時々思い出してサラサラした砂をさわりながら、あの時の空気を思い出しています。